《忘星のヴァリシア 第一章:劫火》
生命の火が、この星を照らしている
2006年、瀬戸内海に面する四国の海運都市。
脚の故障で陸上選手の夢を失くした少女、星守明桜(ほしがみあきお)は親友の海添彩希(うみそえあやの)とともに高校に進学。
部活や新しい友人たちと出会い、空っぽだった明桜は少しずつかつての自分を取り戻しつつあった。
しかし、ある日彩希が突如姿を消してしまう。
この星には、太古より続く戦いがあった。
かつて神に与えられた、空の魂を持つ8体の巨人《星辰機(スターマキナ)》。
『これに乗り、百年に一度現れる《簒奪者》より生命の火を守れ。そして絶やすな』
その言葉に従い、星辰機に選ばれた乗り手は戦い抜いてきた。
それから幾星霜。
全ての星辰機が斃れてから100年。
次の100年を繋ぐため建造された人工の巨人《星辰機・デスタニア・レプリカ》の精神燃料として捧げられた彩希の魂に選ばれ、明桜は全ての生命を守る戦いに巻き込まれていく。
彩希とともにいるために。
彩希へ一歩踏み出すために。
そしてもう一度、自分を信じるために。
運命を奪い奇跡の熱量が爆ぜた時、存在しない9番目の巨人が目覚める。
其は《ヴァリシア》。
冥王の名を冠する白亜の戦士。
――これは、すべての始まり。
きっといつか忘れられる、ありふれた星の、私たちの物語だ。
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